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2017/9/13 NEW

オプジーボ20mg投与の経緯について(3)

 オプジーボ20mg単独にしてからも治療成果は大して変わっていない印象ですから、そもそも免疫細胞療法との併用自体が必要なかったのかも知れません。(抗がん剤治療などのために免疫力がよほど落ちているというケースは別ですが)
 ここでその治療成果についてですが、当院での未だ50名にも満たない症例数ではデータとしてあまり意味がありませんが、CR(一旦腫瘍が画像上消えた症例)12%、PR(腫瘍が30%以上縮小した症例)26%、SD(腫瘍は縮小していないが悪化もしていない症例)29%です。CRとPR合わせて38%。「取りあえず生命を落とさない」という最低目標としてSDまで含めれば、67%の患者さんが達成しているわけです。標準治療において「オプジーボは、言っても20%の人にしか効かない」という情報がありますが、それがCR+PRの%を指しているのなら、標準量の150mgとか200mg以上を投与してのその余りにも低い数字に驚きます。CRしかカウントしていないのでしょうか?それとも、たまたま当院にオプジーボが少量でもよく効く患者さんが集まったのでしょうか?
因みに、当院での副作用についてですが、放置すれば生命に関わるレベルの副作用は3件(7%強)発生し、1件は当院で治療し2件は病院が対応してくれました。少量だからと言って、決して副作用の発生率が低くなっているわけでもないようです。

 ここまで説明した経緯のように偶然にもオプジーボ20mg投与だけで効いた患者さんが少なくなかったので、今さら何の根拠もなく量を上げられないのです。20mgがベストなどとも思っていません。ただ、量を増やしても効果が変わらなかったり、場合によっては逆効果になったりしたらどうしようとも考えます。標準量の「言っても20%にしか効かない」という情報を聞けば、なおさらです。(ただ、さすがに体重が80kgとか90kgの患者さんには30mgとか40mgの投与を勧めていますが)

2017/9/11

オプジーボ20mg投与の経緯について(2)

 当初よりオプジーボの薬価の高さ(20mg当たり15万円強)も話題になり、「いい気になって使用していると我が国の保険財政が破綻する」というようなオプジーボに対してのネガティブ意見も少なくなかったのですが、そうした世の流れの中で平成28年7月中旬頃に「免疫細胞療法とオプジーボの併用で副作用による死亡者が出た」という報道が為されたのを契機に本格的にオプジーボのネガティブ・キャンペーンが始まりました。
 そもそもその事件は、標準治療の病院でオプジーボ標準量が投与された患者さんに別の民間クリニックが免疫細胞療法をしてしまい免疫暴走が起きてしまったというのが真相のようで、それは最もやってはいけないことなのです。ですから20mgという少量にしているわけです。しかし、報道ではそこまで詳細に報じていませんので、一般の人は「免疫細胞療法+オプジーボ=危険」という図式にしか捉えません。オプジーボに対するイメージも悪くなります。
 厚労省からも免疫細胞療法を行っている各医療機関に注意喚起が為されました。更にはオプジーボを名指しして医薬品輸入代行業者には「国内に代替品がある医薬品の個人輸入は原則認められない」という旨の通達もありました。(小野薬品製造のオプジーボは販売先医療機関を厳に制限していますので、それ以外の医療機関は米国ブリストルマイヤーズ・スクイブ社製のオプジーボを海外から個人輸入しています)
 当院で治療を受けていた患者さんの半数くらいも上記報道により動揺し、せっかく治療が効いているのに辞めてしまったという患者さんも出ました。そこで、厚労省からの注意喚起もあったことから少量のオプジーボのみの治療に切り替えました。なぜなら、たまたまですがその事件の少し前から、実は少量オプジーボ単独でも行けるのではないかという考えもあったのです。

 あまりに悪い全身状態でこの治療に賭けたいと来院する患者さんもいます。それらの患者さんの中には免疫細胞の培養が完成する2週間後まで無事でいるだろうか?と心配になるような状態の患者さんもいました。そこで「何もしないよりは」と患者さんご納得の上で少量のオプジーボのみ先に投与しておくという事例がありました。すると、そのうちの何人かは無事に2週間後に免疫細胞治療のために来院した際に、既に癌が縮小している現象が見られたのです。たった1回のオプジーボ20mgの投与で、です。

(続く)

2017/9/11

オプジーボ20mg投与の経緯について(1)

 オプジーボを自費診療で20mg〜40mg投与しているクリニックがいくつか有るようで、そうしたクリニックに対して標準治療の一部の先生たちからの以下のようなコメントをネット上で散見します。
(1)「20mgとかで効くわけがない。」
(2)「20mgなら副作用のリスクが低いので、効かないとわかっていながらビジネスの為にやっている。」
(3)「自費で標準量となると料金を支払える患者は稀なため、何とか手が届く料金の20mgにしている。効かなくてもいいから。」
(4)「副作用が起きた場合に対応できないにも関わらず、ビジネスの為にやっているのは患者にとって危険なこと」

(1)に対して、現実に効いている患者さんがいます。それは事実です。
(2)に対して、自経験から20mgでもそれほど副作用のリスクは低くなってはいない。行っているクリニックが、そのことに気づいているか気づいていないかはともかく、リスクは犯しています。
(3)に対しては、「よくそこまで言うわ」しかないです。
(4)に対して、対応できなくはないし、実際に病院に撥ねつけられた患者さんを仕方なく自院で副作用の治療をし治した事例があります。しかし、患者さんの安全のためには病院が意地悪言わず対応してくれてもいいのでは?

 正直、上記の批判コメントが当たらずも遠からずというクリニックがあるかも知れません。
そこで、当院がオプジーボ20mgの投与を始めた経緯について何回かに分けて詳しく説明しておこうと思いました。別に標準治療の先生の理解なぞ求めておりません。癌患者さんに少しでもわかっていただければという期待を込めて。少なくとも上記の批判に当てはまると思われるのは、さすがに心外ですから。


 当院が低用量オプジーボ療法を始めた経緯は、その投与量20mgも含めて全く偶然の産物です。
 最初は大変お世話になっている先生からの或る提案がありました。「免疫細胞療法に少量のオプジーボを併用すると抗癌効果が高いのではないかと思われるので、やってみては?」と。しかし、脚光を浴びている新薬を使ったこれまでに無い治療の先陣を一介の診療所が行うわけには、と及び腰になっていました。ところが、すぐそれに食いついた別の診療所があり、おまけに派手に宣伝して最初からかなりの癌患者さんに上記治療を開始したのです。それはそれで如何なものかとは思いましたが、その診療所の細胞培養スタッフが旧知の関係だったため情報が入り、劇的な成果を出している症例がいくつもあることを知りました。それも大きなトラブルもなく。この診療所の先陣を切った暴走には、今では感謝するしかないです。
 それらの成果を確認し、当院でも平成28年1月より免疫細胞療法+低用量オプジーボの治療を開始しました。オプジーボ量20mgというのも前出の先生の提案です。根拠はありません。免疫細胞を大量に戻すゆえ、オプジーボの投与量をかなり絞らないと免疫の暴走が怖いということからです。10mgで始めてもよかったくらいです。そして、当院でも衝撃的な成果をすぐ経験することになりました。なおかつ、その効果発現が早いのです。

(続く)

2017/8/25

低用量オプジーボ治療の症例報告(7)

患者さんは51歳女性。
卵巣癌で何度も手術(なんと8回!)や抗がん剤治療を繰り返してきていて、転移のため右肺も下半分切除している。
しかし、肺に新たに転移が見つかり、標準治療ではもはや打つ手なしとのことで、平成29年7月に当院受診。
胸部レントゲン写真で、確かに残された右肺や肺門部に腫瘍影を認める。

相談の上、低用量オプジーボ治療をやってみることになり、早速初診時に1回目投与。

ところが、2回目投与予定の直前に患者さんから連絡があり、
癌がよりによって健側(手術していない側)の左肺に行く主気管支を閉塞してしまい、左肺が無気肺(肺に全く空気が入らない状態)になってしまったと。
つまり、肺が4分の1しか機能していない状態になってしまったため、常時酸素を吸っている状況で、来院できないとのこと。
とにかく1回投与しただけで終わっては意味がないのでと、特別に往診して2回目投与。

その後、近くの地元の医院の先生が協力してくれ、その先生により更に2回投与した段階で問題の無気肺が解除された、つまり気管支を塞いでいた腫瘍が小さくなったという報告がありました。

「一時的な現象じゃないか?」とか「まだ顛末はわからないじゃないか」とかイジワル言うことなかれ。
とりあえず効いていなければ無気肺の解除が起きるわけがない。
それどころか、4回の投与で明確な成果が出ている以上、この患者さんの完治も決して夢ではない。

2017/7/8

低用量オプジーボ治療の症例報告(6)

患者さんは49歳の女性。
平成27年10月に子宮頸癌で子宮全摘術を受ける。
平成28年5月に再発し、抗がん剤と放射線治療を受けて腫瘍縮小し、一旦経過観察となる。
しかし、平成28年11月に再々発し、抗がん剤治療3クール受けるが更に悪化。腫瘍は膀胱や大腸にも浸潤。骨盤底全摘術を勧められるが、さすがに患者さんが拒否。

平成29年2月に当院に相談に来院。
当院での腹部超音波検査においても、膀胱内に浸潤した腫瘍塊を確認できる。
ご希望により低用量オプジーボ治療開始。
1回目の投与直後に下腹部痛があったと。(経験上、悪いサインではない)
2回目の投与後から血尿が出るようになった。(これも悪いサインではないと思っておいた)
3回投与後あたりから、超音波検査上、明らかに膀胱内の腫瘍塊が縮小し始めた。
4回投与後から血尿が止まる。
6回投与後、超音波検査上、膀胱内の腫瘍は見当たらなくなった。(大腸への浸潤など他の変化はわからない)

7回の治療が終わった時点で手術等を受けた病院でCT検査が行われ、CT上、腫瘍は全て消失。
担当医は「前に行った抗がん剤が遅れて効いたのだろう」とのコメントだったと!!
えっ? じゃあ、なんで骨盤底全摘なんて過激な手術を勧めたの?というような面倒くさいことは言わず、
患者さんと相談して、いきなりの治療中止はさすがに不安なので、当面2ヶ月に1回低用量オプジーボの投与を続けることにした。

当院として婦人科の癌での初のCR症例で、素直に嬉しい。




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